(注:30話前に書いた予想ショート)


Truth


帰投したキラを待っていたのは歓声だった。
バスター、デュエルを落とし、イージスは逃がしたもののブリッツを撃ち取ったのだから。
整備クルーの間からトールの笑顔が見える。
「すごいよ、キラ!」
ブリッジからの通信も、喜びに満ちている。
「お疲れ様、これでしばらくの間は追撃が止まるでしょう。ゆっくり休んで」
ホッと安堵した様子のマリューの声も、今はキラの心を苛立たせるだけ。

集まった友人達も、みな一様に笑顔で。
辛い気持ちを押し殺して、表情を作って。
「ちょっと、疲れたから休むね」
そんなことを言って人ごみから抜けて、ようやくキラは自室へ逃げ込む。

苛立ち、怒り、悲しみ、
その矛先をどこに向ければいいのか途方に暮れるキラ。
「おかえりなさい」
横からいきなり声がかけられる。
デスクの前に、フレイが立っていた。
彼女は表情を消して、キラを見据えている。

「あの、イージスってのに乗ってるの、キラの友達なんでしょう?」
「…どうして…知ってるの?」

フレイは笑おうとして、笑えなかった。

「ブリッツってやつのパイロットは、きっとキラの友達の、大切な仲間だったんでしょうね。
 それに、コーディネイターで…キラの仲間だもんね」
「うん…そう、だね」
「また、殺したくないのに、殺してしまった。キラの手は、もう血で真っ赤ね」
「そうだよ、フレイ。僕はもう…とっくの昔に血まみれなんだ」

フレイは事実を述べていく。キラはそれを確認していく。

「もう、泣かないの?キラ」
「泣いても…事実は変わらない」
「じゃあ、怒らないの?」
「…フレイ?」
「かわいそうなキラ…」

フレイが微笑む。見る者を魅了する、天使のような、悪魔のような、笑み。
そして、そっとキラを抱きしめる。

「…まだ、優しくしてくれるの?」
「馬鹿ね…あたしはあんたを傷つけたいだけよ」

キラも、笑う。
自嘲ではなくて、本当に癒されて。

どちらからともなく口付けて、次第に激しくなって、いつもの情事へと雪崩れてゆく。
互いに、精一杯の持っているものを与え合って。


end



真実を告げる彼女が、一番キラを理解していると。
破局してませんねぇ。(笑)
精神的に破局してるけど、肉体的に続いてるのとか…。

いや、実は、一番通じ合ってるでしょ。好きだなぁ〜フレイ。

PHASE-30の冒頭は、絶対こうではないのです。
これは…願望なのですよ。(苦笑)

2003/04/28 UP


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