綺麗な嘘


「僕たち、間違ったんだ」

馬鹿じゃないの!?

そんなの、当たり前じゃない。
あんたなんて、死んでもいいのよ。
あたしを守って、死んでもいいのよ。

愛してなんかいないわ。
憎んでるだけだもの。
あんたがかわいそうだから、ウソをついたのよ。

どうして、気付かないの!

馬鹿。
どうして、今まで気付いてくれなかったの!



「なによ、そんなの!」

僕は、
僕らは、最初っから間違えてたんじゃないか。

守るため、なんて理由で、人を殺す。
どんなに繕っても綻びる、擦り切れてゆく心。

優しくされたかった、愛されたかった、罪深い、僕。
優しかった、愛してくれた、罪深い、君。
君だって傷ついてたのに。
僕のことが憎くて仕方なかったのに。

ごめんね、ごめん。
僕は、君の同情がとても心地よかった。
強いと思ってた、君のこと。

壊れてゆく君を支えることなんて、今の僕にはできなくて。
どうすれば、
君を守れるほど強くなれるんだろう?

嘘つきな君の嘘は本当。



end



中途半端に終わり。
私は「同情」って好きなんだけど。
だって、そういう感情は優しいから。

2003/04/24 UP


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