京さん(OVER LAND)が、ブレポタネタを進めてくださった!
ありがとう、ぼくの女神さま!
(迷惑かけてすんませーん)








守護者のかたち





「ミツル、守護者の呪文使えるようになったって本当?」

 尊敬の眼差しをこめてそう尋ねたら、きっとミツルは大したことでもないとでも言うように涼しげな顔で肯定するのだと思っていたのだけれども、ワタルの予想はあっさり外れた。ミツルはものすごく顔を顰めて、誰に聞いた、とか地を這うような声で尋ねてきた。その反応にワタルはおやと首を傾げる。

「ミヤハラだけど」
「………………」

 ワタルの答えにミツルは無言で踵を返した。ばさりと翻るローブを慌てて追いかける。いつのまにか、ミツルの手には彼の杖。なんだか異様に力を込めて握っている。

「ど、どうしたのさ。違うの?」
「……知らない」
「は?」

 ワタルの問にミツルはますます顔を顰めた。知らないって事はないだろう。確かに守護者(パトローナス)を実体化させる呪文はワタルたちの年齢には随分と高度すぎる内容の魔法ではあるけれど、もしかしたら先生たちなんかよりもずっと凄い魔法使いの彼が知らないはずが無い。というかそもそも、答え方が微妙すぎる。何をそんなに怒っているんだろうか。
 早足で歩き続けるミツルについていきながらワタルはもう一度尋ねる。

「使えるようになったんじゃないの?」
「使えない」
「嘘つくなよ」

 間に割り込んできた声は第3者のもの。びっくりして振り返ると、そこにはにやにや笑っているミヤハラがいた。ミツルがものすごい顔でミヤハラを睨んでいたけれど、そんなこと気にしていないみたいにミヤハラは口の端を持ち上げて見せてやればいいじゃん、と言う。

「使えるのなんで隠すの?」
「ワタルには関係ない。使えたとしても絶対見せない」

 随分頑なだ。

「関係あると思うけどなあ、俺は」
「ミ ヤ ハ ラ !」
「落ち着けよ〜。なあミタニ」

 ミヤハラは睨むミツルをさらりと交わしてワタルを手招きした。怖い顔をしているミツルがちょっと気になりつつも、ワタルが何かと尋ねるとミヤハラは自分の杖をくるくると回しながら尋ねてくる。

「パトローナスってどうやって実体化させるか知ってるか」
「え?えーと確か、幸せな事を頭に強く思い浮かべて、呪文を唱える」
「そうそう。守護者のかたちがいろいろなのは?」
「知ってる。個人によって違うんだよね。…あ、」

 そこでようやくミツルが隠したがっている理由を思いついて、ワタルはぽんと手を打った。

「ミツル、そんなに人に見せたくない形の守護者だった?」
「……っ」

 ワタルの言葉に答えずに、ミツルは顔を顰めて唇を噛んだ。でもなんだか顔が赤い。図星なのかな。一体どんな守護者だったんだろうか、ワタルが首を傾げると、ミツルはぷいと横を向いた。

「?」
「ミタニ、おまえにっぶいなあ」

 面白くてたまらない、といった表情で、ミヤハラが呆れた声を出す。なんなんだよ。ワタルが眉をひそめてミヤハラのほうに向き直ると、ミヤハラは笑いを堪えているみたいな顔でちらりとこちらに背を向けてしまったミツルを見てから、ワタルに告げた。

「こいつのパトローナス、お前の形だったんだ」









もういっちょ!ネタをサルベージ!













京さんのトコが閉鎖ー!?って聞いて、慌てて頂戴頂戴おねだりコール!
転載、快諾くださいました。ありがとうありがとう。
だいすきー!



2006.10.16(2007.02.07)


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